真実の館・b
 −A true answer is here?−


森の中に古くて大きな洋館が建っていた。

壁には蔦が生い茂り、門扉は今にも崩れそうなほど錆きっている。

ギギィーッと重い音を立て、内側から扉が開いた。

薄暗い館の中から出てきたのは、旅人だった。

黒髪で精悍な顔つきをしている。
黒いジャケット姿で腰にはパースエイダーが装備されていた。


「真実は見つかった? キノ」


ふいに、どこからか旅人に話し掛ける声がする。

声は少年のような声で、キノと呼ばれた旅人は返す。

「見つからなかったよ」
「そっかー残念」

そうあまり残念そうには聞こえない声で答える、声の主はモトラドだった。

「でもね、エルメス。僕は見つからなくて良かったと、思っているんだ」
「なんでさ?」

エルメスと呼ばれたモトラドは尋ねた。

「…真実を知ることによって、旅を止めなければならなくなる可能性があったから」

真剣な表情でキノは答えた。

「それはちょっと困るなぁ。こんな所に置き去りにされちゃ、次の乗り手が来る前に蔦だ
らけになっちゃうね」
「でも、真実は見つからなかった」

「あー良かった。ぼくも今、キノと同じ気持ちだよ」

その言葉を聞いて、キノは少しだけ微笑んだ。

そしてエルメスにまたがり、ポンと軽くタンクを叩きエンジンをかけた。



「さぁ行こうか」

「どこへ?」

「いつかと同じ、どこかへさ」

「了解」



凄まじい爆音と共に、砂埃を巻き上げ旅人とモトラドは森の中へと消えて行った。




END

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++コメント++

まずは、ここまで読んで下さり有難うございました。
101のお題、最初のUPです。
そして、初めて書くキノの二次小説・・・
シズ様編の伝統はある意味パクリですから(滝汗)

これから「真実の館・a」を目指してお題に挑戦して行こうと思います!!

*華瑠波*